チャーチルと言うと私の様な戦前派にとっては、第二次世界大戦の敵国だったイギリスの首相としてのイメージが濃い。彼は１８７４年生まれ、丁度戦乱が拡大した１９４０年にチェンバレン首相の後を継いで英国の首相となった。そして連合軍として大戦を勝利に導いた人物である。
もう一つ彼にまつわるエピソートしてペニシリンの話がある。彼は１９４３年チュニスでのルーズベルトとスターリンとの会談を終え、帰途についた時、肺炎にかかった。これを治したのが、まだ製造が緒に就いたばかりのペニシリンだったと言う説があった。これが日本に伝えられ日本でのペニシリンの製造研究が加速されたと聞かされたことがある。どうやらチャーチルの肺炎を癒やしたのはサルファ剤だったらしいが、抗生物質の発見、生産に強い興味を持っていた若い頃の私には大きな刺激であった。
さて、この切手は、チャーチルが死亡した年・１９６５年５月（死亡は１月）にアメリカ・ミズリー州フルトンで発行された。チャーチルは１９４６年この地にあるウエストミニスター大学で講演を行っている。この時、初めて鉄のカーテン（Iron Curtain)と言う言葉を使って共産国との間に深まりつつある溝に言及した。以後この鉄のカーテンなる語は東西の冷戦が終わるまで広く使われたのであるが、その講演をしたチャーチルを記念してこの切手は発行された。肖像は、有名なAngry Lion像「怒れる獅子像」とも言われている１９４１年のYousuf Karshの作品から採用された。
切手の大きさ横、約２３ミリ、縦、約４０ミリ程。５セント切手。