散歩道の花 ９月の花 その１０
マツバボタン
マツバボタンは、万延元年９月に遣米使節が帰国した際持ち帰った植物の種子の中にあったそうです（磯野直秀氏・渡来年表）。既に渡来して１５０年余経った古い園芸植物です。私も子供の頃から馴染んできた花ですが最近は園芸種が主体で大型の多分ジュエルという種類が広く出回っているようです。夏、他の花がバテ気味でも本家筋のハナスベリヒユと共に頑張っていました。この花を発見したのはスコットランドの植物学者John Gillies(ギリース1792-1834)です。彼は、肺結核を患い２０才で英国を出て転地療法兼ねて南米に移住しました。そして１８２８年まで主としてアルゼンチンに滞在し、植物採集など行っていました。その時にRio del SaladilloやPampas州の西の州境、 Mendoza近くの山でマツバボタンを見つけました。彼は採取した植物試料をKewガーデンにいた英国の植物学者Hoocker（フッカー1785-1865）の所へ送っていましたので、マツバボタンも彼の元に届けられたのでしょう。１８２９年にフッカーはPortulaca grandiflora Hookとして報告しています。それから短時間とも思える約３０年たって日本にも渡来したと言うのは驚きです。発見者のギリースは４２才で亡くなりました。写真の花はジュエル（Portulaca ‘Jewelでしょう。）
スベリヒユ科(2016.09.20)
1)Hooker, William Jackson : Botanical Magazine 56: pl. 2885. 1829. (
Portulaca grandiflora Hook.)
