ケネディ大統領の暗殺事件、１９６３年１１月２２日、その頃、私はフランスにいた。たまたま行った床屋で、そこの主人がこの事件の事を話してくれた。勿論フランス語が殆ど分からない私でも彼の身振り手振りからこの大事件をはっきりと知った。
ケネディは、第二次大戦中は水雷艇を指揮する海軍士官として活躍した。戦後、政治の世界に入り、上院議員から１９６０年大統領選に出馬してニクソンと争い僅差で勝利、３５代大統領となった。
大統領在任中に、ソ連がキューバにミサイルを持ち込み、米ソが鋭く対立したキューバ危機への毅然とした対処、国内的には人種差別の撤廃に積極的に動いた。ソ連に対して劣勢にあった宇宙開発にアポロ計画を推進し、彼の死後６年経った１９６９年に人類が月面に初めて立つ快挙を成功させた。ただベトナム戦争への介入は、その後長く続きアメリカを苦しめる事になった。また、米国がイラクのサダム・フセインを支持援助したのもこの時代である。しかし、彼の死後四十数年経った今も偉大な大統領として多くの人の尊敬を受けている。
この切手は、彼が亡くなった翌年１９６４年５月２９日、４７才の誕生日に発行された。多くのデザインの中からジャクリーヌ夫人が選んだものだそうだ。右側に大統領の肖像は、彼のイメージにもっとも相応しいものとして何百枚もの写真から選ばれたもので、彼の人間としての温かさ、それに精力的に動いた彼の姿がよく表れていると言う。左側の光を照らすトーチは、彼が大統領就任演説の中で自由のための闘いから逃げることなく、そのための努力を傾注して行く事、それが世界をあまねく照らす光になるであろうと述べたくだり、次の箇所「 The energy, the faith, the devotion which we bring to this endeavor will light our country and all who serve it−and the glow from that fire can truly light the world. に因んで採られ、そのデザインはアーリントン墓地で行われた彼の葬儀、その中の光の儀式の光からデザインされたそうである。また、彼の言葉も切手に書き込まれている。
切手の大きさ横３２ミリ、縦４９ミリ程。８セントの記念切手である。