フランクリン・ルーズベルトの急逝に伴って急遽副大統領から３３代大統領になったのがトルーマンである。彼の名は日本が敗戦を迎えた時の大統領であったので記憶にも新しい。彼は１９４８年の大統領選挙で再選を果たし、５３年初めまで大統領を務めた。ルーズベルトが死去した時、副大統領になってから１ヶ月余ほどしか経っていなかったので大統領との意思の疎通も十分でなく彼にとって青天の霹靂の思いで大統領職に就いたと言われている。また、前大統領が余りにも偉大だったのでやや影の薄かった大統領に見えるが、彼が大統領時代、先ず広島と長崎への原爆投下の決定をした事は見逃す訳にいかない。それ以前５月にはドイツが敗北、そして原爆投下後の８月に日本が敗れ、第二次世界大戦が終わった。トルーマンが直面したのは、敗戦国処理問題、国連の創設、アメリカ戦後経済の立て直し、トルーマンドクトリンに基づく共産主義との対決、米国内での共産主義者の追放、その中での敗戦国援助マーシャルプランの実施、朝鮮戦争、ベルリン空輸作戦、ＮＡＴＯの創設などなど、特筆出来るのは、終戦まで同盟国であったソ連との決定的な対決、冷戦構造へ大きくハンドルを切った大統領であった事である。その意味で大戦後の混乱の中、強い決意を持って民主主義を守った大統領だったと言える。
この切手は、１９８４年１月、偉大なアメリカ人シリーズ（GreatAmericans issues)一つとして発行された。肖像は、多分、Greta Kemptonと言う肖像画家によって１９４７年に描かれ、ホワイトハウスの正式肖像画になっている油絵から採られたものだと思う。彼女は５枚のトルーマン像を描いているがその最初に描かれたものだと言う。この像は、１９４８年の大統領選にも使用された。
切手の大きさ横２２ミリ、縦２６ミリ。２０セントの切手である。